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​世界画報 復刻版

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発行

世界画報社。

ゾルゲ事件※で有罪となり廃嫡となった西園寺公一が、軍国主義を糾弾し、主体性の確立を目指した

グラフ雑誌「世界画報」。

自身の雑誌「グラフィック」(1936~1941・廃刊)を復活させたもの。  

発刊の目的

国策報道により、戦争や政治の真実を知らされていなかった大衆に、写真を用いて「戦争の真実」を

明らかにすることを目的としており、今では掲載不可の過激な写真も多く掲載されている。

 

収録

1949年後半に予約購読制の雑誌となり新刊小売書店の店頭から消える。

創刊号から1949年8月発行号までを収録。

 

仕様

1946年(昭和21年)から1950年(昭和25年)まで刊行していたグラフ誌。

発行当時は、月刊、B5版、グラビア印刷であった。

 

構成

雑誌の表紙や構成はアメリカの写真雑誌 『ライフ (雑誌)』を意識して作られた。

 

記事内容  

当時の社会情勢、大衆のくらしぶりや関心事等の他に、風俗、芸能、映画、演劇などの記事も多い。

外地引揚の老人、靴磨き、浮浪児、ヤミの娘達、炭鉱、人身売買、失業者4百万人、大正十二年の大震災が生み出した生活不能の老人・不具廃病者、部落の人々、乞食、回虫や結核患者。メーデーに集う群衆、食糧不足と闇市、紙幣発行工場の女工、日本人捕虜‥‥。

道徳も倫理も「社会」も、混沌としとして確立されていない時代。

大衆の抑圧されていたエネルギーの爆発。ともすれば暗く沈みがちになりそうな記事ばかりだが、

地獄を見た者達が微かな光明を頼りに必死に蠢ている姿に目を奪われる。

汗、涙、泥に塗れ、体臭が匂いたつような写真、今では口にすることも憚られる記事の数々。

けれども、そこに映し出された彼らの表情は、どこまでも明るい。

※ゾルゲ事件:来日したリヒャルト・ゾルゲを頂点とするソ連のスパイ組織が日本国内で諜報活動および謀略活動を行っていたとして、

1941年9月から1942年4月にかけてその構成員が逮捕された事件。この組織の中には、近衛内閣のブレーンとして日中戦争を推進した

元朝日新聞記者の尾崎秀実や、この事件で有罪となり廃嫡となった西園寺公一らもいた。

主な写真家・漫画家
田村茂、土門拳などの写真家、近藤日出造、横山泰三などの漫画家も誌面に名を連ねている。

 

時代を反映する広告
栄養失調の治病薬、病毒用の六〇六号と水銀剤、強ビタミンB1剤、生命保険、

「殺虫剤の原子爆弾」という表現の過激な広告ページが誌面を飾る。  

​​​​​​​​​販売価格
創刊時、「定価金六拾銭、継続会員金五拾銭、海外送料二十銭」とあり、海外の読者も意識した作りであった。  
​​​​​​​​
蔵書状況と希少性
国立国会図書館は紙・マイクロで所蔵しているが欠号が多い。海外は1大学のみ所蔵。  
この「世界画報」は、国際情報社より発行されていた「世界画報」(国内外の多くの大学で所蔵)とは別の雑誌。  

​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​解説(敬称略)
井上祐子(公益財団法人政治経済研究所主任研究員)​​​​​  


お奨め対象
大衆史、日本文化史、風俗史、近現代史、社会史、表象文化史、芸能史、

メディア史、写真史(報道・リアリズム研究)の研究者 

大学図書館、公共図書館​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

本書籍導入ベネフィット
同一プラットフォーム内の書籍・雑誌・新聞に掲載用語との「横断検索」が有効。

様々な刊行物との比較・検証がお勧め。
戦前の国策報道と真実の相違など比較検証を含め、学部や学科、ジャンルの壁を越えて、

思わぬ発見をする可能性を秘めています。

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